~自分も相手も大切にするための「バウンダリー」~
みなさんは「バウンダリー」(boundary)という言葉を知っていますか?
バウンダリーとは、「私だけが私である」という“自分”と、“自分以外の人やもの”との境目のことです。つまり、「心の境界線」と言うこともできます。この線があるからこそ、私たちは自分の気持ちや考えを守りながら、人と関わることができるのです。
たとえば、家のまわりにあるフェンスや門のように、心にも「ここから先は自分の大切な領域」という線があります。この線は、人との関係を守るためにとても大切です。バウンダリーがあることで、「自分を大切にすること」と「相手を大切にすること」の両方ができるのです。
たとえば、友達に「今は話したくない」と感じたときに、「ごめん、今は一人にしてほしい」と言えるのは、自分のバウンダリーを守る行動です。
逆に、相手が「今は無理」と言ったときに、「わかった」と引くことは、相手のバウンダリーを尊重していることになります。

もしバウンダリーがうまく保てないと、「言いたいことが言えない」「無理に合わせてしまう」「相手にイライラする」などのストレスがたまりやすくなります。
一方で、線を引きすぎてしまうと、「誰にも頼れない」「さみしい」と感じてしまうこともあります。
大切なのは、おたがいが安心できるちょうどいい距離を見つけることです。
中学生の時期は、友達づきあいがぐっと深くなる分、バウンダリーがゆらぎやすい時期でもあります。たとえば、
- LINEの返信をすぐしないと悪い気がする
- みんなに合わせないと仲間外れになりそう
- 断りたいけど、空気がこわい
こんな気持ちになったことはありませんか?
それは、あなたがまじめに人との関係を大切にしている証拠です。けれど、「がまん」だけでつながる関係は、いつか苦しくなってしまいます。
「嫌なことを嫌と言う」「疲れたら休む」「自分の考えを伝える」――これらはわがままではなく、自分を大切にする行動です。そして、相手の気持ちや考えを尊重することも同じくらい大切です。
バウンダリーを意識することは、「自分も相手も安心できる人間関係」をつくるための力です。
ワーク:わたしのバウンダリーを考えよう
① こんなとき、あなたはどう感じますか?
(感じたことを〇で囲もう)
- 友達が勝手に自分のスマホを見た → 平気 イヤだ
- 休み時間に一人でいたら、友達がずっと話しかけてきた → うれしい ちょっと疲れる
- 自分の意見を言ったら笑われた → 悲しい 腹が立つ
② あなたが「イヤだ」と感じるのはどんなとき?
(例)しつこく聞かれるとき/急に予定を変えられたとき など
→ _______________________________
③ 相手のバウンダリーを守るために、自分ができることは?
(例)相手の気持ちを聞く/「今いい?」とたずねてから話す など
→ _______________________________
最後に
このおたよりの内容を通して、自分と相手の「心の境界線」を少し意識してみてください。自分は(相手は)どんなときに心が落ち着くか? 自分は(相手は)どんなときに嫌だと感じるか?――その感覚が、とても大切です。
