スクールカウンセラー便りの具体例 5 4つの自分

 みなさんは、自分で自分自身のことをよく知っていますか? 人間というものは、意外と、自分自身のことについて知らない一面があるものです。また、すごく親しい友達にも知られていない 自分の一面があると思います。

4つの自分~ジョハリの窓~ 

自分が知っているかどうか、友達が知っているかどうか、という2つの点から、自分自身について分けて考えてみることが出来ます。自分を4つの自分に分けて考えることができます。自分を見つめる入り口と言う意味で、「窓」という例えを使って、ジョハリの窓と呼ばれています。

友達が知っている友達は知らない
自分で知っているA自分も友達も知っている自分B自分は知っているが、
友達は知らない自分
自分でも知らないC自分は知らないが、
友達は知っている自分
D自分も友達も知らない自分
ジョハリの窓

自分で知っている自分

「A:自分も友達も知っている自分」は、当たり前のことですね。例えば、「友達と 一緒に帰った」とか「自分の家で友達と一緒にゲームをした」になります。

また、「B:自分は知っているが、友達は知らない自分」という自分もあります。これも、色々なことがあると思います。例えば、「実はテレビより本を読むことが好きだ」などといったことは、自分から友達に言わなければ、友達は知らないと思います。

別に秘密にしているわけではないけど、友達は知らないことは、たくさんありますね。

自分で知らない自分

自分でも知らない(気づいていない)自分というものもあります。最初は、「C:自分は知らないが、友達は知っている自分」です。

これはちょっと気持ち悪いでしょうか?自分自身のことなのに、自分で知らないというのは、不思議な気もします。その上、友達は知っているということは、さらにナゾが深まります。

でも、こんなことです。例えば、「すごく緊張すると頭をかくクセがある」といったことは、自分では気づきにくいけど、周りで見ている友達は気が付きやすいものです。

「D:自分も知らないし、友達も知らない自分」は、さらにもっと不思議ですね。自分自身の中に、自分も友達も誰も知らない一面がある、というのはちょっと気持ちが悪い感じもします。

しかし、このDの部分は、単に不気味なものであったり、恐ろしいものであったりするわけではありません。この部分が自分自身の成長や変化の源になる部分なのです。

単純な例ですが、例えば「ピンチ の時に自分自身も他人にも思いもよらなかった力を発揮する」とか、そんなことです。ピンチの時に出てくる自分なので、いつもは自分でも気づいていないことがあります。

成長するということ

もし、人間にA(自分も友達も知っている自分)の部分しかないとしたら、どうなるでしょうか? もう前から知っていることや、既に分かっていることしか起きないとのです。つまり自分という存在は、いつまでも前と同じ自分でしかない、ということになってしまいます。いつまでも同じ自分なので、いつまでたっても成長しません。

成長するということは、今までの自分とは違う自分が現れてくるということです。自分にも他の人にも、分からなかった面が現れてくるということです。つまり、D(自分も友達も知らない自分)の部分から、新しい自分の一面が現れてくるわけです。

実は、D(自分も友達も知らない自分)の部分は、それ以外の部分(A・C・B)より、ずっと大きいと言われています。できると分かっていること(A・C・B)だけではなく、D(自分も友達も知らない自分)の部分の自分を信頼して、新しいことにいろいろ挑戦していくことが、人間を成長させていくのです。


記事の執筆

半田一郎(公認心理師・臨床心理士)

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