スクールカウンセラー便りの具体例 8 ゲームの楽しみ方のタイプから進路を考える

 皆さんは、スマホやパソコンでゲームをやりますか? ほとんどの人がゲームを少しはやっていると思いますが、楽しみ方は人によって違いますね。ある心理学の研究から、どんなふうにゲームを楽しんでいるかというタイプ分けを紹介します。ゲームの遊び方だけではなく、人生の楽しみ方にもつながっていると思います。

4つのタイプ

 Richard Bartleさんが1996年に発表した論文を元にして、アレンジして紹介します。

 ゲームの楽しみ方について、まずは、気持ちが人に向かっているか、物事に向かっているかという方向性の違いを考えてみます。

 さらに、プロセスを楽しむのか、結果を求めるのかという楽しみ方の違いを考えてみます。

それを組み合わせると、図のような4つのタイプに分けることができます。

ゲームの楽しみ方のタイプ分け

 1つ目は、ゲームを楽しむときに、人とおしゃべりをしたり、一緒に何かを作ったりするプロセスそのものを楽しむ遊びかたがあります。これは、左上の「仲良くしたい」というタイプです。

 2つ目は、相手と競争して勝ったり、相手を倒したりすることを楽しむ遊び方があります。これは、左下の「勝ちたい」というタイプです。

 3つ目は、アイテムやキャラクターを全部集めることや、ステージを全部制覇することを楽しむ遊び方です。これは、右下の「クリアしたい」タイプです。

 4つめは、こんなことをやってみたら何が起きるかということを色々と考えて試してみることを楽しむ遊び方です。これは、右上の「色々やってみたい」タイプです。

 同じゲームでも人によって、楽しみ方が違っていて、「どう○○の森」シリーズでもアイテムを集めことが好きな人(クリアしたいタイプ)もいますが、人とコミュニケーションを取ることが好きな人(仲良くしたいタイプ)もいます。FPSでも、相手を倒すことが好きな人(勝ちたいタイプ)もいますが、色々な戦い方を試すのが好きな人(色々やってみたいタイプ)もいます。

職業を考えてみる

 このタイプ分けを使って、職業の選び方を考えてみたいと思います。一般的には、料理が好きだから「料理に関連した職業につこう」と考えることが多いと思います。でも、料理に関連した職業は無数にあって、進路の方向性を決めることに迷うかもしれません。好きなことの内容だけではなく、紹介した4つのタイプも合わせて考えてみることが良いと思います。

 料理を通して人と交流することが好きな人(仲良くしたいタイプ)もいます。こういう人は、人がたくさん集まるような料理のおいしい居酒屋を経営することが良いかもしれません。

 素晴らしい料理をつくって、その分野で誰にも負けないようになりたい人(勝ちたいタイプ)もいます。超一流のレストランに入って最高の料理をつくれるように修行することが良いかもしれません。

 どんな料理でも何でも作れるようになりたい人(クリアしたいタイプ)もいます。色々なメニューが楽しめる大衆レストランを経営することが良いかもしれません。

 色々な料理法や食材を試してみて新しい料理を開発したい人(色々やりたいタイプ)もいます。面白いレシピを開発する料理研究家になったり、食に関する企業の商品開発で活躍することが良いかもしれません。

 料理を例に挙げましたが、どんな分野や内容でも同じことが当てはまります。自分の興味関心のある分野や内容と楽しみ方のタイプを組み合わせて、職業や進路を考えてみることをお勧めします。

文献

Richard Bartle 1996 Hearts, clubs, diamonds, spades: Players who suit MUDs


記事の執筆

半田一郎(公認心理師・臨床心理士)

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