スクールカウンセラー便りの内容

スクールカウンセラー便りにどのような内容を書いたら良いか、具体的に解説します。

スクールカウンセラーの自己紹介

子どもたちに親しみを感じてもらうために、まずスクールカウンセラーを知ってもらうことが重要です。そこから相談につながる可能性もあります。しかし、カウンセラーは自己開示をしないことが原則のため、どんなふうに自己紹介をしたら良いか迷うスクールカウンセラーも多いかもしれません。

スクールカウンセラー便りでの自己紹介では、個人としての自分を知ってもらうことよりも、専門職としての自分について知ってもらうことが良いと考えられます。学校の子どもたちに読んでもらうスクールカウンセラー便りですから、専門職を目指して学んでいた大学や大学院でのエピソードを紹介することも、良い方法ではないかと思います。

相談室の利用案内

悩んでいて相談したいと思っている人でも、カウンセリングを利用するまでには、色々なハードルがあります。

【カウンセリング利用までのハードルの例】

そもそもカウンセリングというものがよく分からない

利用方法が分からない

秘密を守ってくれるか心配

自分の相談は取るに足らないものではないかと感じている など

これらのことについて、スクールカウンセラー便りの中で解説すれば、子どもたちがカウンセリングを利用しやすくなります。

カウンセリングについて

子どもたちは、カウンセリングとはどういうものか分かっていないことがほとんどです。解決策を教えてくれると考えている子どもが非常に多いと思います。カウンセリングについて、「今困っていることについて、一緒に考えます。」などと説明することが良いでしょう。スクールカウンセラー便りの中で、何度か伝えて、理解の浸透を図ることも重要です。

開室日、利用のルール

スクールカウンセラーは、毎日学校で勤務するわけではないので、カウンセリングルームが開いている日を伝えることは大切です。実際に相談に来なくても、カウンセラーが来ていると知ってもらうことだけでも意味があります。

また、相談は基本的に申込制・予約制になると思います。申し込みの方法を具体的に伝えることが重要です。なお、申し込み方法はどの子どもにも分かりやすくて簡単な方法が良いと思います。

その他、学校によっては、授業中の利用などの細かなルールが定められているかもしれません。必要に応じて、利用のルールについて説明することも大切です。

守秘義務について

スクールカウンセラーに相談すると自分の悩みが担任の先生に伝わってしまうと思っている子どもは多いようです。守秘義務についても、「相談の内容は、勝手に他の誰かに話すことはありません。」などと要点を説明することは大切です。

相談内容

自分が悩んでいることを相談して良いかどうか迷う子どもも多いようです。「どんなことでも相談に乗ります」と案内することも大切ですが、具体性がないため自分の悩みも相談してよいとは考えにくい場合があります。そこで、具体的な相談内容を伝えることも大切です。

友達関係で困っている場合、勉強方法が分からず困っている場合、進路について悩んでいる場合、大人との関係で悩んでいる場合、辛いことがあって困っている場合、などのように相談内容を伝えることが良いと思います。

心理学的な知識

スクールカウンセラー便りで心理学的な知識を伝えることは、子どもたちの心の健康を促すために意味があることです。一方、インターネットを検索すれば同じような情報を簡単に得ることが出来るため、スクールカウンセラー便りで伝える必要性は低いと考える人もいるかもしれません。同じ情報でも、学校からの情報は、受け取る側である子どもたちとっては重みがあります。子どもたちが、信頼できる情報をもとに考えることにつながるため、スクールカウンセラーから情報発信することは重要なことです。

学習に役立つ知識

記憶に関する心理学的な知識や、学習方法についての心理学的な知識を分かりやすく伝えることは、大切です。「心」や「気持ち」には関心を向けない子どもたちも、学習については関心を持つ場合があります。スクールカウンセラーに対して、広く関心を持ってもらうためにも学習に役立つ知識を伝えることは意味があります。

部活動に役立つ知識

中学生・高校生の場合、部活動は多くの子どもたちの重要な関心事です。部活動で成果を上げたり活躍したりするために役立つ心理学の知識を提供することも意味があります。リラックス方法やモチベーションの保ち方などは、多くの子どもたちにとって重要な情報です。

友人関係に役立つ知識

友人関係で悩んでいる子どもたちはかなりの割合です。ソーシャルスキルを伝えたり、アサーションの基本を伝えたりすることは重要です。

自己理解に役立つ知識

自分自身を見つめて、自己理解を深めることは心の健康の基本です。そのための、基本的な知識はどんな人にとっても必要なものです。例えば、思考と感情を区別するという認知行動療法の基本を伝えることも良いでしょう。

その時期の話題

その時期に話題になっている事柄について、心理学の立場から解説することは多くの人に興味を持ってもらえる可能性が高いでしょう。社会情勢だけではなく、学校の行事に関連して心理学の知識を伝えることは大きな意味があります。

記事の執筆

半田一郎(公認心理師・臨床心理士)

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